2010年3月14日日曜日

上腕骨骨折はどうする?

今日は、日当直です。夕方にスキー外傷が1件ありました。リフトで尻もちをつくときに後ろに 手をついたら突然の激痛に襲われたとか・・・。 受傷機転からも上腕骨顆上骨折がすでに怪しいです。
診察してみると神経障害はなさそうですが、屈曲制限あり、関節腫大もかなりでした。これはいっちゃってるなと思いつつ右肘関節2方向をレントゲンで撮影、自分で撮影しなきゃいけないのもこんなちいさな病院の特徴ですか・・・。
正面を撮影した時点でバッキリと上腕骨顆上骨折を発見、関節内にまで骨折線がしっかりとありました。
骨折の基本は転位があればすぐに整復し固定するのですが、この人は伸展位でないと疼痛が強くてどうしようもありません。どうしましょうか・・・看護師さんと悩んだ末に、伸展位で固定しすぐに整形外科を受診し整復をするようにと紹介状を持参させました。
さて、そもそもはどの治療が正しいのでしょうかということでまたもや調べごとです。本によって違いますがプライマリ・ケア整形外来マニュアルBruce Carl Anderson著では上腕骨骨折は大きく2つにわけるとあります。頸部近位端と骨幹部骨折は多くは保存的に治るためこの2つが一つのグループで、顆上骨折は複雑で肘関節を含むので観血的固定術をするとのことでした。
カラー写真で見る骨折、脱臼、捻挫、羊土社、内田淳正編をみると治療は肘屈曲位(90度以上が転位像悪を防ぐのに有効)でのギプス副子固定3~4週間、転位がある場合は牽引療法による保存的加療や麻酔下での徒手整復が適応になるとある。比較的速やかに整復を行い、腫脹や浮腫の軽減を量り、神経麻痺や循環障害を避けなければならないとのこと。
救急処置としては屈曲位で副子固定が有用であるとのことですが、転位があり腫脹が強い場合は循環障害の危険性がある屈曲位は避けて肘関節伸展位の状態を保つほうが安全であるとの記載もありました。
いずれにしろコンパートメント症候群やVolkmann拘縮には要注意であるとのことで、転位が強い状況や骨折部周囲の腫脹が強い場合は早急な整復固定が必要なので整形外科に紹介するのが良いみたいですね。
今回の症例は軽度の転位でしたが腫脹が強く循環障害や神経障害が危ぶまれたかもしれません。疼痛が強く屈曲位をとれずにやむを得ず伸展位で固定して専門医に紹介したのですが、偶然とはいえある程度は正解に近い結果で一安心です。
これから東京に帰って整形の専門医を探すって言っていたけどみつかるかなぁ、土日で時間外なので東京都の救急相談ダイヤルを教えておきました。

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