2010年12月9日木曜日

MBAって凄い (OHSU 45日目)

今日は大きなイベントはなく、、、私たちの世話全般を見てくれるFamily Physician DepartmentのCleark、、、といってもMBAでいわゆる経営的なことをやっている方と面談でした。
日本に帰ってからOHSUでの経験をどのように役立てたいかについて定期的にミーティングをしています。
後期研修医を受け入れるシステムについて話になったときに、研修医が自分の給与をどうやってペイすればよいかなどについて話し合いをしました。
例えば日本で診療所で研修医を受け入れる場合、私たちの団体では診療所がサラリーを払えないと研修医を受け入れ出来ません。しかし、研修医を受け入れてペイをするためには外来ベースのクリニックの場合は患者数も1.5倍から2倍に引き上げないと給与が出せない。事実、研修医がくるのに合わせて患者数を増やすなんてのも難しいし実のところ受け入れに関しては体力のない小規模診療処などは受け入れがしたくても出来ない状況が続いているのです。
そんな話をしていたときにデパートメントの収支、クリニックの収支、それぞれのMDの儲け、それぞれのMDが何に何%時間を費やしているか、コンピュータの維持のコスト、研修医の儲け、その他の職種の給与などすべてをまとめていたものを見してもらいました。
彼曰く「Accounting(経理)はいくら足りないからもっと患者診ろ、もっと働けだけどMBAはそうじゃなくて、ここが赤字だけどこうやったら黒字になる。ここは赤字なのはしょうがないことだけど、そのおかげでここで黒字を作れている、、などいわゆる今の現状を将来に好転させるビジョンを作るところが違うんだ」と話していました。
医師の診療に使用する時間、医師の研究に使う時間、医師の教育に使う時間などを徹底して計算し医師の配置を検討する。いわゆる資源の適切な配分を求められているわけですね。非常に興味深く、勉強してみたい内容でした。MBAって凄い仕事をしていますねえ。

リッチモンドクリニックでプリセプティング (OHSU 44日目)

今日はリッチモンドクリニックでプリセプティングです。
プリセプティングも様々なDrを見てきましたが面白いですね。今日の先生は我々で言うところの質問返しを毎回している先生でした。一通り終わった後に「What would you like to do?」と必ず聞き返して、そのあとでアドバイスをいくつか与えます。
先生によっては「う~んこうすりゃいいんじゃない?」「いつも自分はこうしているよ」と答えをすぐに
提供する先生から、「○○の××に△△が載っているよ」と教える先生から、一緒にEBMツールを使って検索する先生まで色々です。
どのような点を一番気をつけて指導しているか聞いたところやはり「すぐに答えを上げないで逆に意見を聞いてからアドバイスを上げる点、あとはレジデントも色々だから色々かな、、、」とのことでした質問返しはやはり意図的なものだったんですね。
あとは非常に良かったなあと思ったのはいわゆるProgress Noteのチェックもしているのですが、これは記載が足りないといったあといしっかりと励ましのメッセージを入れており「Cheering is precepter's too」と言って笑っていたのが印象的でした。
Positive Negative Positiveの批判のサンドイッチという言葉を研修医の最初に習ったのを思い出して懐かしい感じがしました。

2010年12月8日水曜日

アルツハイマークリニックの見学 (OHSU 43日目)

今日はFamily physicianではなくNeurologyのAlzheimerクリニックを見学しました。
今日見させてもらったのはFront Temporal Dementia疑いの患者です。何だか最近記憶が悪くなったことなどを心配して同じアパートの住民が連れてきたようです。頭部CTでは前頭葉が委縮気味でFTDを疑っているとのことで、PCPから精査以来の紹介です。話によるとアリセプトを処方されて飲んでいるようで「何だかこれを始めてから悪くないみたい」と付き添いの方の意見。
MMSEをやってみると確かに悪い、20点以下、COGNIATAT認知機能検査を行う。
COGNISTATはscreen-metric方式(最も難易度の高い課題に正答すれば正常とする)で行われるため、検査時間は軽度認知症で15分程度ですむ簡易な検査で1、見当識 2、注意 3、語り 4、理解、5、復唱 6、呼称 7、構成 8、記憶、9、計算 10、類似 11、判断のそれぞれの能力を評価できる。
結果は、見当識や記憶に大きな問題があるが臨床的にはFTDとは臨床的な症状に隔たりがありすぎるという判断。
確かにDynamedには3 major clinical presentationsで特徴づけられると書いてあり、更にはcharacterized by insidious onset of personality changes, behavioral abnormalities and poor insight includingと記載がある。
最終的には、アルツハイマーも典型的じゃないけどアリセプトが一定の効果を見せている。典型的なアルツハイマーじゃないけど非典型的なアルツハイマーとしてアリセプトを続けて、半年ごとに経過を診るようにしましょう、、、ということで一件落着でした。
ところで認知症の疫学的な分類などをもう一度おさらい。
日本のcohort研究J Neurol Neurosurg Psychiatry 2009 Apr;80(4):366をゲットしました。
65歳以上で認知症のない人を828人を17年間追跡したもので、、、1000人年あたりで計算されてます。
100人を10年見た場合に換算すると32.3人が認知症になり
・14.6人がアルツハイマー型
・9.5人が脳血管性
・1.4人がレビー小体型
・3.8人が混合型
・3.1人がその他
思った以上に脳血管性が多いことがわかります。
基本はアルツハイマー、二番目が脳血管性、その他はドングリの背比べ状態ということですね。

鍼灸外来(Acupuncture Clinic) (OHSU 42日目)

今日はCHHでAcupuncture Clinicの見学です。中国人のMDの先生と4人の鍼灸のインターン生と一緒にチームを組んで診療しており、そこにお邪魔しました。
実は自分は漢方や鍼灸に否定的だったのですが、ちょっと印象が変わった気がします。
多分、否定的な理由は自分が良く分からないから嫌い!、、、というところが一つ。
もう一つはAcpumctureに関してはRCTをやっても盲検化が難しいので今一つEBMという観点でもちょっと弱いなあと、、、いうのが理由です。
患者さんはみんな痛み止め、理学療法(いわゆるフィジカルセラピー)も効果がなくてAcupunctureを希望して来院している人ばかりです。
一通り問診を終えてから診察です。
診察は右手の脈を3本の指で取り、次は左手、そして舌を見る。どっちの手かは忘れてしまったけど、それぞれの指はHeart、Liver、Heartを示すのだとか、、、。
いわゆる’証’を診るということのようです。
問診による症状の聴取と証からAcpunctureをする位置を検討し、最後にアテンドのMDと相談してから実際に術を施していました。カルテにはLV4・5のように書かれていたので「これは何のレベルなの、、、腰椎?」と聞いたら「LiverのArea4・5だよ」と親切に教えてくれました。どうやら合計で400くらいAreaがあるらしく全部覚えるのだとか、、、。
実際に術を施すと腰が痛いと言っていたおじさんは立ち上がり腰をグルングルンとまわしながら体を揺り動かし「おー感じるー、宇宙のエネルギー見たいだー」みたいなことを英語で言っていました。
もちろんプラセボもあるのかもしれませんが、痛み止めもダメ、フィジカルセラピーもダメ、、、という患者で毎週毎週、湿布だのトリガー注射だのしてくれという患者って結構いますよね。
そういう人には実際の効果、プラセボ、痛みに対して何かをしてもらっているという感覚、、、そういったことが大事なのかもしれません。Acpunctureはそういう患者にはぴったりの方法のような気がしました。
問題は保険が利かないということですが、アメリカに関しては通常の保険に加えてオプション加入しているとAcpunctureが保険でカバーされるそうです。

2010年12月7日火曜日

Procedure Clinic(OHSU41日目)

今日はリッチモンドクリニックでProcedure Clinicを見学です。
いわゆる、手技物を集めて特化した外来をしようということのようです。
通常の外来で粉瘤だったり、縫ったり、切ったりというのはなかなか時間がかかりますし、外来がストップしてしまう。クリニック経営の視点でも手技物はある一定の時間、例えば週1回だけ午後のみに時間を十分かけて行うのがいいかもしれません
一例目からなかなか大変そうな人で背中の6cmはあるLipomaです。背中に割を入れ皮下と脂肪織を剥離、、、これが割が少し狭めでなかなか術野が狭く苦労している様子でしたが40分くらいかけて何とか摘出し終了。
その他はCorposcopyなどでしたが、私たちが日本のクリニックでやるには機械がまず必要ですしPap Smearぐらいが限界かと思いました。何より日本ではCorposcopyのTrainが受けれる場所は家庭医をやっているところではなく婦人科に限定されてしまいます。
婦人科の子宮頸癌のscreeningやBirth controleを含めたWomens healthについてはアメリカと日本の差を感じることが多いですがしっかりとTrainを受ければ本来は出来るはず、、、というか出来そうなことが多いんですよね。
あとは、婦人科の問題や産科の問題で家庭医が患者にかかわることを患者が許してくれることが非常に大事になってくるのですが、、、
「何かあったら専門のお医者さんに!」なんてテレビで言っているうちは難しいかもしれません。
「何かあったらまずはかかりつけの家庭医に!」という時代はやはり皆保険制度がつぶれることがなければ起こらないのでしょうかねえ、、、

チーフレジデント (OHSU40日目)

今日はリッチモンドクリニックというところで、プリセプティングを見学です。見学させていただいたのはチーフレジデントの方のプリセプティングでした。
ところで、レジデントなのになんでプリセプティングをしているんだろうと思いません?私だけならごめんなさい。
実はチーフレジデントはレジデント卒業後数年目の先生がつくポストで、研修のローテションの調整やナイトフロートなど調整したり、研修の問題点をくみ上げて上層部と折衝したりと、、大変な仕事のようです。自分の臨床をしながらやるわけですから大変ですよね。
私たちもチーフレジデント制度があるんですが私たちの中のチーフレジデントはレジデントの中から選出される形で、ローテートの調整などはしません。どちらかというと勉強会をどうするとか、年数度のレジデントミーティングの内容をどうするとか、そういうことが多く、自分たちがんローテートを決めて動かすことはありません。あったとしても研修教育担当の先生に研修医のニーズを理事会で通してもらうために意見をまとめたりと、いわゆるそれそのものだけとして決定力や強い発言権はない状態です。日本ではこれが普通だと思います。
さて話に戻りますがプリセプティングの途中でローテート表を取り出して何やら先生はお悩みの様子です。「どうしたの?」と聞くと「We always have a conflict.Mmmm!」と、、、
つまり、ローテーションやナイトフロートなどの時期をめぐりレジデント同士で争いが絶えないということらしいです。そこは日本と同じですね、、何だか初期研修医のころを思い出します。
初期研修医のころは当直表を初期研修医で作っていたんですね。自分達の代が1年生の時はそれぞれがそれぞれを補う形で、病人が出ても、急用ができた人がいても争いがなかったんですが、、、自分たちが2年目になって1年生に当直表決めを任せたら内紛が勃発し結局1年目から当直表を取り上げて2年目が調整する形で解決を図ったのを思い出しました。
なんだか懐かしい話ですが、アメリカも日本もやりたい仕事、やりたくない仕事はみんな共通ですね。

2010年12月4日土曜日

サンクスギビングでWest Coastへ

こんにちは、私たち夫婦はサンクスギビングはアメリカの西海岸へ行きました。
この時期の西海岸は寒く風が強いですが晴れれば絶景です。
海岸沿いに別荘地が点在し、25か所くらいホエールウォッチングが楽しめるスポットがあります。
別荘地の近隣にはリゾートホテルなどがあり、浜辺を歩いたり、ホテルのプールで泳いだりと家族でゆっくり過ごすのがアメリカ流のようです。
私たちはCannon beachと呼ばれる浜の大きな1枚岩を見たり、Tillamookという酪農で有名な街で
チーズ工場を見たりとゆっくり過ごしました。
あとは、この時期は寒いですがサケやカニ(ダンジネスクラブというカニで超美味)を使った料理などが港で食べることが出来、定番料理となっています。
最後に立ち寄った港、Newportでは先ほどのカニを食べましたが、何よりもすごいのは野生のアシカが港のあちこちにたむろしていて数メーターの距離で見ることができます。
近くに全米で5本の指に入るというオレゴンコースト水族館がああり、フリーウィリーという映画に出演したシャチのKeikoが在籍していたことで有名なのですが、こちらの水族館でアシカを見るよりも港でただで近くで見れるので何だかお得な感じです。
水族館の方は、やはり日本のほうがかなりすごいという感触でした。日本はやはり四方を海で囲まれた国というところもあり魚種から水槽の大きさから日本のほうがすごいかなあと、、、。
いずれにしろ、3日間、オレゴンでやっと観光らしい観光ができたのでとても充実したサンクスギビングでした。