2010年3月12日金曜日

尿管結石について・・・

昨日は当直で結構大変でした。早朝6時、尿管結石で入院していた患者さんが多呼吸で苦しそうだとのことで病棟から連絡を受けて診察しました。
呼吸数40~50/分、尿はIn:1600mlに対してOut:400mlと少なめで喘鳴経度あり、、、うぬぬ!これは、、、尿が出てない!心不全かと思いレントゲンを撮影してみましたがさっぱりCTRは大きくなってないし胸水もない。入院時の採血を見てみると炎症所見が高く腎機能も悪い。そうだABGだ、、、ととってみると代謝性アシドーシスがバリバリでした。酸素化はいいのに多呼吸、そんなときは代謝性アシドーシスが隠れているんですねぇ。結局は結石が通過しなくて敗血症性ショックと腎不全による代謝性アシドーシスということで病院から1時間先の基幹病院へ転送となりました。
ところでどのくらいの尿管結石であれば自然落下を期待できるのでしょうか?、、、いやだいやだ、、、また調べごとです。
Up to dateで調べると「Diagnosis and acute management of suspected nephrolithasis in adults」という項目の更に「Stone passage」に以下の記載がありました。
①2mm以下 5%が介入が必要 自然落下には平均8.2日で95%が31日以内に落下
②2mmより大きく4mm以下 17%が介入が必要 自然落下には平均12.2日で95%が40日以内に落下
③4mmより大きく6mm以下 50%が介入が必要 自然落下には平均22日で95%が39日以内に落下
他の文献でも
       ~1mm未満だと87%が自然落下
2mm以上~4mm未満だと76%
5mm以上~7mm未満だと60%
7mm以上~9mm未満だと48%
        9mm以上だと25%
結石の位置にも影響され、近位尿管だと48%、尿管膀胱移行部だと79%自然落下する

簡単にまとめると5mm以上だと自然落下はフィフティフィフティということ、場所は遠位尿管だと落ちやすいということですね。

それを踏まえたアルゴリズムの表を発見!

X線陽性結石で5mmより小さい場合→hydrationをかけて自然落下を期待
自然落下しても最初の評価時に水腎や多発する結石であったら2週間以内にエコーで評価
自然落下しない場合は泌尿器科的精査

X線陽性結石で5mm以上の場合→最初から泌尿器科的精査
鹿の角状の結石の場合、経皮的結石切石術やESWLを検討
腎杯もしくは上部尿管の場合、ESWLを検討
遠位尿管の結石の場合、経尿道的に砕石術をするかESWLを検討

X線陰性結石の場合、尿酸結石として対応し点滴や疼痛管理
クエン酸カリウム(ウラリットとか)で尿のアルカリ化を検討

この患者さんの場合は右の尿管膀胱移行部で10mm以上、自然落下の可能性の高い一致ではああるけどサイズ的には可能性が低いということでした。
アルゴリズムに当てはめると経尿道的にやるかESWLの適応ですかねぇ
ただし腎盂に鹿の角状に大きな結石があり経皮的切石術などの適応も考えなくてはいけないかもしれません。
ちなみに自然落下を期待してCaブロッカーやαブロッカーを使うこともあるみたいです。

専門医にコンサルトするタイミングとしては敗血症、急性腎不全、無尿それらに加えて改善のない痛み、吐気、嘔吐がある場合、外来患者の場合は10mm以上の結石、内科的に経過を見たが通過しない結石でとりわけ4mm以上で疼痛がコントロールできていないものに関しては専門医に相談するのが良いみたいです。

きっと次回は役立てるはず、、、いい勉強になったぁ~。

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