2010年4月15日木曜日

子供手当は子供の将来のため?②

さて前回の投稿に引き続き、ここからが本題です。ちょっとばかり医者っぽいこと話しちゃいます。将来の子供のために貯金すると言いますが、それだけで将来は本当に大丈夫ですか?自分ながら本当に怖いことを言ってしまいました、、、スイマセン。


分かりやすく例え話をします。老後はゆっくりと隠居暮らしするために昼夜を問わず一生懸命働いて、働いて、、、いざ退職してみたら病気をして隠居生活が闘病生活になってしまったなんてことよく聞きますね。実は将来を考えるためには今の健康のために検診を毎年受けたり人間ドックを自分で受けたりという投資が必要なわけです。お子様についても同じことが言えるんじゃないでしょうか?将来子供たちが大きくなって無事に過ごすには病気という多くの矢玉の間を掻い潜っていく必要があるのです。そのために必要なものが予防接種だったりするわけですね。

ということで、今回は私の勤務する病院で新しく始める予防接種を紹介します。乳幼児用の肺炎球菌ワクチン(商品名:プレベナー®)を今年度から始めることになりました。肺炎球菌によって引き起こされる疾患として代表的なものに菌血症/敗血症、髄膜炎、細菌性肺炎、中耳炎があります。WHO(世界保健機関)の統計では世界では肺炎球菌感染症により毎年約100万人の乳幼児が死亡しているという報告があります。しかし近年、肺炎球菌感染症はワクチンで予防可能な疾患の代表的なものとして考えられるようになりました。特に、肺炎球菌によって引き起こされる髄膜炎は、ほかの菌の場合と比べ重症化する場合が多く、40%以上が予後不良であることが報告されています。2000年より肺炎球菌ワクチンを小児期の定期接種ワクチンとして導入した米国では、導入前と比較し、肺炎球菌による髄膜炎、菌血症の発症が94%減少したことが既に確認されています。

接種の方法は、初回は2カ月齢以上7カ月齢未満で開始し、27日間以上の間隔で3回接種します。追加免疫は通常、12~15カ月齢の間に1回接種します。つまり合計4回の接種になります。 1回に8500円(私の勤務する病院ではこの位の額で行いますが全国的に見ても格安の値段です。)だとすると合計4回の場合でも最大で3万4千円です。年間15万6千円の子供手当の約1/5の出費で肺炎球菌による髄膜炎、菌血症の発症が94%減少するわけです。残りの4/5を貯金に出来て肺炎球菌による感染症から子供を守れたら素晴らしいことだと思いませんか?

なんだか製薬会社の請負みたいな感じになってしまいましたが肺炎球菌ワクチン、個人的にはお勧めです。

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