今日の外来での出来事です。診断名、湿疹でずっとステロイドを出されていた患者さんが来ました。主治医は決まっておらず薬が無くなるたびに初診外来にひょっこりと顔を出していつもの塗り薬といつもの血圧の薬をくださいといって薬のみもらいにくる田舎の診療所に有りがちのタイプの人です。
診察室に入るなり「いつもの薬を・・・」といっていましたが以前に私が見たときと一目瞭然で違うところがありました。顔の皮疹が以前はなかったような気がしましたが今回は顔が赤くなっています。
う~ん、鼻梁をまたいでいるけど紅斑というには辺縁が明瞭ではないしSLEの好発年齢でもない。よくよく見ると額、特に眉間や鼻から口へかけての皺のちょうどある辺りが赤くなっています。
ステロイドを塗ると良くなるからステロイドをくれと言いますが、良くなっては悪くなりなんだかひと癖ありそうな感じです。
実はこれって脂漏部位に一致して皮疹があるんじゃないだろうかと思い頭皮を診察、すると頭皮は落屑がたくさんあります。ぬぬ!これは脂漏性皮膚炎だ!ということで抗真菌薬を処方しました。
すると陪席していた学生さんが「先生は油を餌にしてカビの仲間が増えるっていいますけど真菌の検鏡はしなくていいんですか?」と質問をしてきました。
確かにカビなのに検鏡しないのはおかしいなあ、水虫のときはしているのに脂漏性皮膚炎はしないのかというのは鋭い質問ですね。
・・・ということで調べごとです。Dynamedで「seborrheic dermatitis」という言葉で検索するとDiagnosisの項目にこうありました。
・clinical diagnosis
・usually no testing needed
・HIV testing should be considered in patients with severe generalized seborrheic dermatitis
訳すると
・臨床的に診断しなさい
・テストは不要
・シビアな場合はHIVのチェックをしなさい
ということでした。
(頭部の場合)
軽症の場合、フケ用のシャンプー(Zn入りまたはコールタール入り)
中等症から重症の場合は抗真菌薬入りのシャンプー
重症の場合は抗真菌薬の塗り薬に加えてステロイドの塗り薬を使用
(頭部以外の場合)
イミダゾールのクリーム
早く治すためにはイミダゾールに加えてステロイド(Mild)の塗り薬
14日以内にステロイドの塗り薬をやめて、その後は治るまでイミダゾールを続ける
今回の答えとしては、検鏡はいらないということがわかりました。
治療としては顔面に関してはMildのステロイドを14日以内で追加して使用したほうが良かったかもしれませんね
明日学生に教えてあげることにしました。
ちょっとは指導医らしく株が上がるでしょうか?
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